生姜

スパイスの一種である生姜。体を温める効果が有名ですが、生姜の薬効はたくさんあり、状態によって活かせる効能が違ってきます。
今回は、食べ方によって変化する生姜の効能についてご紹介します。

生姜の効能

生姜には体を温める効果、発汗効果、解熱効果、胃腸に関する症状の緩和等、様々な効果があります。

体を温める効果

生姜に含まれるジンゲロールという成分には、血流促進効果があります。またショウガオールという成分が、体内の脂肪や糖質を燃焼させて、体温を上昇させてくれます。ショウガオールは、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質を胃腸付近に生産させます。CGRPが生産されると心臓からの血液量が増え、腹部の血行が良くなるので、体の芯から温める事ができるのです。しかし、この効果は生姜に火を通しておかないと得られない効果なのです。

発汗効果と解熱効果

ジンゲロールには、体の深部の熱を手足の先に送り出す効果があります。これにより体の端を温める効果があるのですが、体内の深い部分の熱を体外に排出してしまうので、結果的に体を冷やしてしまうのです。また、発汗作用もあるので汗によって体を冷却する効果もあり、風邪等で発熱している時には、熱を下げる効果があります。この効果は、生姜が生の状態の時に発揮される効果なので、体を温めた時に生の生姜を食べてしまうと逆効果になってしまいます。

ジンゲロールは体の末端を温める効果がありますが、それだけなので体を温めたい時は、ショウガオールも働くような状態にしなくてはならないのです。

胃腸に良い効果

生姜には、吐き気を止める効果や、下痢や便秘を改善する効果があります。生姜のジンゲロールには、吐き気を止める効果があり、乗り物酔いやつわりの吐き気に効果があります。また、健胃作用もあるので胃に関する症状に効果があります。

殺菌・免疫力強化の効果

生姜には殺菌作用があり、昔から肉や魚の臭み取りや、薬として使われていました。
生姜が風邪薬として昔から使われていたのは、上で紹介した解熱効果と共に、強い殺菌効果もあるからなのです。
これは生の生姜に良く含まれる効果で、ハチミツにすりおろした生姜を混ぜた物を食べると風邪が早く治ると言われています。風邪だけでなく、胃腸の殺菌もできますよ。

効能を活かす摂り方

生姜

上でも少し触れましたが、生姜の効能は欲しい効能に合わせて生姜を加工する必要があります。体を温めたい時は火を通して、熱を下げたい時、免疫力を上げたい時は生のままで食べるようにしましょう。

体を温めたい時

体を温めたい時は、乾燥させた生姜や熱を加えた生姜を活用します。生姜に含まれるショウガオールは、100℃以下の温度で加熱した時や蒸した時にできる物質です。その為、体を温めるショウガオールが欲しい時は、天日干しした生姜や蒸した生姜を活用します。

乾燥生姜はスーパー等でも販売されていますが、製法によっては熱を加えない方法で作られている物もある為、生の生姜から作った方が良いと言われています。生の生姜をスライスし、1日天日干ししておけばできてしまうので、ほとんど手間がかかりません。効果が無いかもしれない物を買うよりは、自分で作ってしまった方が良いでしょう。

体を温めてくれる生姜の作り方

生姜の体を温めてくれる効果を高めた加工法があります。「ウルトラ蒸ししょうが」と「酢しょうが」と呼ばれている物です。

これ等の方法で加工されたしょうがは、ジンゲロールとショウガオールがバランス良く作用するため、体を効率的に温める事ができるのです。

<ウルトラ蒸ししょうがの作り方>

「ウルトラ蒸ししょうが」は、以下の作り方で作成できます。

  1. 生生姜の皮をむかずに、生姜のラインにそって1~2mmの厚さに切ります。
  2. せいろに、生姜どうしが重ならない様に並べ、蒸していきます。
  3. 最初はレモンの様な香りが、次に甘い香りがしてきます。
  4. 黒みを帯びて、見た目が芋の様に変化したら火を止めます。
  5. 蒸し終わった生姜を天日なら1日、室内なら1週間ほして出来上がりです。

生姜は漢方でも使用されるのですが、このウルトラ蒸ししょうがは漢方での加工を参考にした加工法です。これにより、生姜に含まれるショウガオールが400倍も増加し、体を温める効果や脂肪燃焼効果が高まるのです。こうしてできたウルトラ蒸ししょうがは、紅茶等と一緒に淹れて飲むと効果的です。

<酢しょうがの作り方>

酢しょうがには、生姜の効果だけでなく酢の持つ効果も得る事ができます。血液をサラサラにし、血中のコレステロールや中性脂肪を抑えてくれます。料理に利用すれば、いつでも手軽に酢しょうがの効果を得る事ができますよ。

作り方はこちらです。

  1. 生姜1001gを皮のままみじん切りして保存瓶に入れます。
  2. 黒酢100ccを入れ、最後にハチミツ20gを入れ、1日漬け込めば完成です。

1日に大さじ1杯分が目安です。1回に一気に摂るのではなく、3食の中で分けて摂るといいでしょう。ご飯に入れて炊くと混ぜご飯になりますし、サラダのドレッシングや料理のタレにも使えます。

生姜チューブに効果はあるの?

生の生姜を保管しておくのが面倒な人や、常に生姜を食事に取り入れたい人は、生姜チューブを活用していますが、体を温める効果はあまり期待できません。というのも、ジンゲロールは空気に触れるとどんどん量が少なくなってしまうからです。ジンゲロールが少なくなるとショウガオールも同じように少なくなります。生姜チューブは加工されてからかなり時間が経っていますから、体を温める効果はなくなっていると言えるでしょう。

しかし、生姜の持つ風邪予防効果や、胃腸の殺菌効果はありますから、こうした病気予防の一環として使用できます。保存も簡単で持ち歩きもできますから、風邪をひきやすい人や胃腸の弱い人は生姜チューブを活用するといいでしょう。

逆効果な食べ方

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生姜は様々な効果がありますが、食べ方や量に注意をしないと逆効果になる事があります。自分の欲しい効果に合った食べ方や量を心がけましょう。

効能別の食べ方に気を付けて

上でも紹介しましたが、欲しい効能によって食べ方が違います。体を温めたいのに生のまま食べる、熱を冷ましたいのに火の通った生姜を食べる、というのは避けましょう。生姜の効能をしっかり理解した上で利用するようにしましょう。

食べ過ぎに注意!

生姜の目安は1日10gが目安と言われています。スライスなら6枚、おろした生姜なら小さじ1杯分です。上の酢しょうがも量が決まっている上に、少しずつ分けて食べるように言われています。生姜は胃腸に作用するので、食べ過ぎると胃腸にダメージを与えてしまうのです。胃腸が弱い人は、特に量に注意して下さい。

調理や管理の仕方にも注意!

生姜のジンゲロールは酸化しやすい成分で、できるだけ切りたてやすりおろしたてを利用しましょう。切ったりすりおろした状態でストックしておくのは避けた方がいいでしょう。

また、生姜は低い温度に弱く冷蔵庫に入れておくと成分がほとんどなくなってしまいます。生姜を補完する時は、湿った新聞紙にくるんで日の当たらない所常温の場所で保管しましょう。上記の加工法は生姜の成分を保ちつつ保存も効くので、保管法としてもおススメですよ。